FOR A LONG TIMEへの道

最後になりましたが「HEART WASH」と「From South Avenue」のタイトルについてお話しします。
「HEART WASH」は文字通り「心の洗濯」と言う意味で付けたのですが、直訳すると「心臓洗い」になってしまうそうです(笑)。
完成間近になってレコード会社のスタッフが得意げに教えてくれました。

「WASH OF MIND」じゃないの〜? と軽く言われてかなり腹が立ったのを覚えています(笑)。
でも、HEART なんですよ、MINDじゃないんです。
直訳がどうだか知りませんが、今でも気に入ってるタイトルなんです(笑)。


「From South Avenue」は、アマチュア時代にバンドで住んでいた超オンボロアパートが千葉県市川市の市川南と言う所にあり、駅から南に向かった道にあったのです。
そのアパートを出た理由が「古過ぎて倒壊の危険性がある」とお役所から言われた大家さんが取り壊しを決めたから…と言う、それはそれは凄まじいボロさだったのです(笑)。

風呂無し、共同トイレのそのアパートでデビューを夢見ていた頃を何かに残したくて付けたタイトルだったのですが、「Avenue」は東西を指す通りで、南北は「Street」なんだそうです。
それも先のインテリ社員が偉そうに教えてくれました。

この辺からもダメダメだったのかも知れませんね(大笑)!



1989年、メンバーより1年遅れてキティを辞めた僕は(飼い殺しって本当にあるんですよ)、井上鑑さんや兄の力添えをもらい、なんとかスタジオミュージシャンとして歩き始めます。
そこで出会った色々な制作者の方にチャンスを頂き、CMやテレビ、アニメの作編曲をするようになり、いつしかその楽しさと忙しさに慣れ、自分の音楽を作らなくなりました。

ある意味、逃げていたのでしょうね。
売れたの売れないの、そんな事に巻き込まれたくなかったのかも知れません。

そんな中で、信頼出来る人間との出会いや、永遠の別れも経験しました。

その20年間の鬱憤を晴らす思いで作った「FOR A LONG TIME」は今でも自分自身の愛聴盤です。
もしもまだ聴いて頂けていない方がいらっしゃいましたら、是非僕の20年間を聴いてみて下さい(軽く宣伝も入っていますかね)笑。



最後の最後になりましたが、「The all songs of WINDY」並びに「FOR A LONG TIME」「Summery」を世に出す機会を与えてくれた、モストカンパニー代表取締役社長にしてプロデューサーであり信頼出来る友人の立石孝氏、ディレクターの西條優子氏に心より感謝いたします。

そしてアニメやCMなどの音楽も含め、僕の作った音楽を聴いて下さった全ての皆様にも、心よりの感謝をお伝えします。

これでWINDYは卒業です。25年ぶりに素晴しい卒業式をさせて頂いた気分です。
本当にありがとうございました。



岩崎元是