またまた最初に譜面が届いた時の話になりますが(笑)、イントロのフレーズをメンバーのたどたどしい演奏で聞いた途端「出たぁ〜」と思いましたね。
ある意味最も井上ワールドな感じを受けました。
まぁ当時の僕等の感覚では死んでも出て来ないフレーズでしたから(笑)。
そしてその譜面のイントロ部に「コードをプッシュしない」と注釈が書いてありました。
まずコード有きのギター少年にとって、それはとても新鮮でした。
ここで「コードを鳴らさずにコード感を聞き手に感じさせる」と言う事を学びましたね。
たとえばT-Rexの「20センチュリーボーイ」(映画20世紀少年でおなじみですね)のイントロのフレーズは、ミーミファミ、ファーミファーミー(ファはメジャーとマイナーのクウォータートーン)を繰り返す事によって、Eのコードを聞き手に植え付けます。
あたかもキーがEの曲が始まったと思わせて、実はそのEはキーAのドミナントコードなのです。
歌が入った瞬間まるで転調したかの様な錯覚に陥り、そこでノックアウト…と言った具合です。
話は戻りますが、その譜面、なぜかサビのベースラインが書いてありませんでした。後日スタジオで「サビは何かリフっぽいものを一緒に考えよう!」と鑑さんがおっしゃいました。
それがたまたま忙しかったからか、バンドのプロデュースの最初のセッションだったからか、それは分かりませんが僕等の萎縮を取り除き、モチベーションを落とさせない為だったとしたら、凄いプロデュース術だったと思います。
話は変わりますが、この曲、実は僕的には歌詞が気に入っていました。
それまで納得のいく歌詞といえば「Parking」の様な「半実話の青春日記」しか書けなかった僕ですが、この頃からシチュエイションや言葉選び、構成力や、あえてキツい表現を入れるなど、幅が広がって来た様に思います(今更の自画自賛でスミマセン)笑。