僕としては「Mr Lonely」を書いたつもりでした。
アメリカンオールデイズのテイストバリバリなロッカバラードを…。
でも、そこが井上鑑さんなんですよね…、分かっちゃいたけど…って感じでした(笑)。
ちなみに僕の中で「涙を飲んだ」のはこの曲だけです。
後で触れますが「街の響きに抱かれて」も予想を大きく裏切られた(良い意味で)アレンジでしたが「涙を飲んだ」と言う事はありませんでした。
さてこの曲、僕のドゥーワップなデモテープから一変、何とも不思議なクールな曲になっています。
鑑さんは曲調(曲のポジションも含めて)を、よくビートルズに例えて話してくれました。
この曲はアルバム中で「ノルウェイの森」の部分を担当する曲にしよう!と。
間奏明けのサビで半音下がる転調なんて、普通やらないですよね?(笑)
この辺が何とも井上ワールドなんですね。
それとアルバムクレジットにもある、コーラス「岩﨑一粒」ですが、こいつの正体は、僕の声(Uh~)を3~4声重ねて録音し、それを当時の最先端サンプラー、Emu EⅡにサンプリングした物です。
10ポイント位の音程を録ったでしょうか…。
鑑さんは、この「僕の声サウンド」をいたく気に入ったようで、当時アレンジをしていた他のレコードでも随分使っていました。
テレビやラジオから流れるヒット曲の中から僕の声が良く聞こえてきたものです。まぁ僕にしか分からないですけどね(笑)。
ちなみに5年程経った頃(当然WINDYは解散済み)、YAMAHAがDXシリーズに続く新しいシンセサイザーSYシリーズを開発します。
その内臓音源として、ピアノやドラム、ベース、ギターなどなど、多くの生楽器の録音がありまして、そのプロデュースを鑑さんが、エンジニアを田中信一さんが担当したのですが、ヒューマンボイス(人間の声ですね)は僕が呼ばれました。
ア~とウ~の男性の声は僕なのです。
この製品はSY-77、TG-77として世界中でヒットしましたので、もしかするとマイケルジャクソン級の超大物アーティストのレコードにも僕の声が潜んでいるかも知れません(笑)。