2ndアルバムの2曲目にして3rdシングルでもある曲です。
やはりWINDYは夏のイメージだろう…と言う事で最初からシングル用に書いた曲で、先の件の「コンサートの拍手で決めるシングル曲」のターゲットだった曲です。
先程触れました、鑑さんから譜面が届いた時のお話の続きですが、この曲は本当に驚きましたね。
実は僕のデモテープでは「蒼い海の色に…」の部分はAm7/D7/Gmaj7/Gmaj7だったのですが、届いた譜面はEm/D/Bm7/Cでした。
ギターを弾かれる方なら解ると思いますが、全く違うんですね、これが…。
思わず「あぁ…」と、うめく様な声が出してしまいました。
他のメンバーは「間違ってんじゃないの、コレ!」と言う者、「全然変わっちゃたねぇ~」と言う者、様々でしたが、僕は「やはりお願いして良かった…」と思っていました。>
明るい曲調の中で、いかにマイナーコードを綺麗に効果的に聞かせるか…と言う事をいきなり教えられた気がしました。
そしてサウンドを断面で考える(この意味は企業秘密です!笑)事も、数曲のサンプルを聞きながら直接教えて頂きました。
また「メロディーやフレーズがそっくりになってしまう事は意図しなくても起きてしまう事があるが、アレンジがそっくりに成る事は意図的にしかありえない」と言う事も…。
僕は今でもメロディーが似ていたり、そっくりな曲があっても(自作、他作問わず)あまり気になりません(笑)。
まぁ作曲家としてはそれではいけないのでしょうが、何百曲も書いていれば「意図せずに似てしまう事」は本当にあるのです(笑)。
余談ですが劇伴(アニメやドラマのBGM)の仕事をしていると、あまりにスラスラとメロディーが出てきて不安に成る事があります。
「あれ、これ誰かの曲に似てたりしないかな…」と散々思い出してみるのですが、どうにも思い当りません。「まぁ気のせいか…、今日は調子がいいのかな!」と気を取り直した途端
「あああぁぁ~!」
そうです。数年前に自分で書いた曲とそっくりだったりするのです。
しかしアレンジは最初から狙って始めますから、偶然にも…と言う事はまずありませんね。
そんな事があるたびに鑑さんの言葉を思い出します(笑)。
さてこの曲ですが「夏の翼」の時と同じく、2番のサビでアカペラになるのはレコーディング中(いやもっと最後のMIX中)にエンジニアの田中信一さんが「これどう?」と聞かせてくれたバージョンなのです
ですからオケが帰ってくる部分のフィルがスネアドラム1発という「超淡泊」な事に成っています。
現代ならば簡単に別の部分から持って来れるのですが、当時は大変な事だったのです。
そのアカペラ部分、日本青年館でのコンサートでは虹色のライティングが客席を照らし、それはそれは綺麗な光景でした(後にビデオで見ました)。
その甲斐あってか目出度く目論見通りに3rdシングルに決定したのです。
そして「夏の翼」と同じく、東レ株式会社さんのCMタイアップが付きました。そのCM、京都出身のナイスバディーのグラビアアイドルのデビューCMでもあったのです。
追いかけるカメラ(視聴者目線)を笑いながらかわして逃げてゆく水着姿の美少女…という、爽やかを絵にかいたようなCMでした。その美少女こそ誰あろう、17歳(当時)の「杉本彩」さんだったのです(笑)。
今では「熟女代表」的な杉本さんですが、当時は本当にかわいい女の子でした。
まぁ25歳の青年(僕ですね)が50歳の中年になるんですから、こればかりは仕方のない事で…(笑)。
今回のブックレットにも書きましたが、CMとしては出稿量が少なくオンエアーを見たのは2、3回だったと思います。
最悪なのはCMが決まった事で安心して、レコード会社の宣伝担当が殆ど何もしなかった事。
またこのCMタイアップは「夏の翼」以来、東レの広報担当の方が何かと良くして下さっていたのですが、その勢いでマネージャーが「レコード会社の営業担当」を飛び越えて、勝手に取って来てしまったことで、社内でブーイングが起き、その後のWINDYの活動に対して非協力的な一団が出来てしまった事です。
まぁ組織ってそんな物です。
僕はこの件でマネージャーを今でも全く怨んではいません。何もできない営業よりよっぽど行動力があって素晴らしいと思います。
が、しかし、この一件はWINDYにとってボディーブローのように、後々効いてきたと思います。暗雲が立ち込め始めた…、そんなエピソードでした。
セールス的にも推して知るべし…、成功とは程遠い結果に終わりました。